ソース(MSN産経ニュース) http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/130323/wlf13032318000021-n1.htm
写真=3月の作品展で展示する作品を前にした生徒たち
霊峰・比叡山など四方を山で囲まれ、中央に琵琶湖を擁する滋賀県は、何やらスピリチュアルなムードたっぷり。そのせいか、
「かるた」の聖地・近江神宮(大津市)や、アニメ「けいおん」ファンの聖地・旧豊郷小校舎(豊郷町)などさまざまな「聖地」の宝庫
になっている。そんな滋賀で、新たな「聖地」として注目を集めつつあるのが「書道」だ。女子生徒らが中心の高校書道部が
「書の甲子園」で好成績を収めたり、パフォーマンス書道を繰り広げたり、まちおこしに一役買ったり…。“書道ガールズ”の奮闘
が光っている。
■「白鳥の湖」に乗せてパフォーマンス書道
部員23人のうち、女子生徒が22人を占める県立膳所高校(大津市)の書道部。昨年4月には、同市の県立びわ湖ホールで
開かれた音楽祭「ラ・フォル・ジュルネびわ湖」に3年連続で参加した。
女子生徒たちはクラシック音楽「白鳥の湖」のピアノ演奏に合わせ、「永遠の愛」をテーマにした詩を書くパフォーマンスを披露し、
喝采を浴びた。
現在は、大津市歴史博物館などで今月28日から開催する恒例の作品展に向け、準備作業中。毎回、部員たちの手作り
カレンダーを販売し、好評を博しているが、今回は10回目の記念展示とあって例年の150部を200部に増刷する。
また展示期間中、会場では、「いきものがかり」のヒット曲「ありがとう」のメロディーに合わせて、感謝をテーマにした詩を
書道パフォーマンスで披露する予定だ。
部長の社納千聖さん(17)は「堅苦しい書道、きれいに書く書道ではなく、自分を表現する書道を感じてほしい」と話す。
■書の甲子園、「また滋賀か…」
そもそも滋賀は、歴史的にも書道の聖地にふさわしいという。近代書道を確立し、「明治の三筆」と呼ばれた3人のうち、
日下部鳴鶴(めいかく)と巌谷一六(いちろく)の2人は滋賀県出身者。その流れを受け継ぐように、県内の高校には書道の
実力校が多い。
国内にとどまらず、海外の高校生も参加して書道の腕前を競う「書の甲子園」と呼ばれる国際高校生選抜書展がある。全国を
10のブロックに分けて作品を募集し、学校ごとに入賞者などのポイントを集計。全国優勝・準優勝をはじめ、ブロックごとの
優秀校なども選出している。
近畿地区でここ数年、優秀校に選ばれる学校の半数以上は、滋賀県の高校が占めている。今年度は県立大津高校(大津市)
が地区優勝を果たしたほか、優秀校に選ばれた6校のうち4校が県勢だった。
「また滋賀か…」。近畿の他府県の書道教育関係者からは、こんな嘆き節も聞かれたという。
滋賀県に実力校がひしめく背景には、書道の指導方法について研究を重ねる教員らの組織「県書教育研究会」の存在がある。
研究会は昭和38年に発足。小・中・高校の教員が一緒になって年に1回、研究大会を開き、書道の公開授業を行ったり
意見交換をしたりしている。夏休み中には、教員を対象に書道の指導に関する講座も開いている。
膳所高書道部の顧問で、同研究会理事長でもある神田浩教諭(52)は、滋賀の書道教育について「手本を書き写すのではなく、
自由に伸び伸び書かせることが特徴」と指摘する。その成果は、パフォーマンス書道などで存分に発揮されているといえそうだ。
(>>2
以降に続く)